2008年02月01日

医療の質と検診の質:第9回 がんの予防と検診に関する講演会を聴いて

 医療の質と検診の質(2008-1-31 第9回 がんの予防と検診に関する講演会)を聴いて次のようなことを感じた。
・・・ 数字の比較だけでは危険、いいことだけ書いてある治療法は危ない、客観的な判断基準として十分なものはまだ少ない、過剰診断に注意 ・・・ など。

医療の質(医療の質を理解するための基礎知識):東 尚弘先生

1.新聞などに載る数字だけを見て判断しないこと
 例えば、ある病気に関する病院別の治癒率、死亡率などは分母の定義が病院ごとに異なるケースが多いので、数字だけの比較は適切とはいえない。

2.手術後の生存率(例えば5年生存率)はその病院の現在の実力とは限らない
 5年前と現在では、医師や設備なども変わっている可能性があり、要注意

3.診療過程評価(適切な診療行為が行われているか)が重要
 現在は患者自身が複数の病院を訪れて、診療方法を聴くなどして自分でその病院や医師が信頼できるか否か判断することが重要である。

 なお、講演では触れなかったが、講演者の東 尚弘先生がJIM(2005/3)に投稿された外来における医療サービス評価 診療プロセス評価のすすめ
の文献も参考になりそうである。

検診の質(良質な検診とは?):佐川 元保先生

1.検診の有効性は生存率でなく死亡率の比較で判断するのが適切
 いろいろなバイアスが掛かるので注意が必要、例えば検診で見つかった初期の病気を早期治療すれば生存率が長くなるのは当たり前で、それだけで検診の効果があったとは言えない。

2.検診によるリスクもあるので新しい検査法を妄信しないこと
 肺がんCTスキャン、消化管の内視鏡カメラなどはまだ検診法としての有効性はデータの上では確認されていない。過剰診断や検査によるダメージも考慮する必要がある。医師との相談の上、自己責任で判断する段階である。

3.標準の検診法では手遅れになるリスクの大きい病気に対しては?
 肺がんの早期発見に有効とされているCTスキャンは、まだ有効な検診法と認定されるデータはない。X線検査法で疑いが出た場合には精密検査として使用することが推奨されているが、高齢者の場合は、個人の判断でCTスキャンを最初から希望するのも選択肢のひとつになる。

それから、講演者の佐川元保先生が講演の中で祖父江班(現在の濱島班)の作成したがん検診のガイドラインを紹介していたが、昨秋の第48回日本肺癌学会総会(2007/11/8-9 名古屋)
特別講演(肺癌の罹患率と死亡率の激減を目指して)は内容が充実していて一読に値する。

posted by Pegasus at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 健康 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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