2007年04月27日

面白い氷の物性:インターネット講座2004(大阪市立大学)より転載

大学では一般市民を対象にした公開講座がいろいろな形で行われていますが、大阪市立大学ではインターネット講座を開設しています。2004年は宇宙から素粒子へという少し難しいテーマでしたが、その中のサブテーマの一つに氷の物性というのがありました。具体的には次の3項目です。詳しくはそれぞれの項目をクリックしてご覧いただくとして、私の興味を引いた写真を引用させていただき、その解説の一部を転載させていただきました。 

第5回 水と氷 (9月)

第6回 氷の多様性 (10月)

第7回 雪の結晶 (11月)

4C.jpg hydrate_flame.jpg
(写真左)水の密度は4℃で最大になる
氷は水より軽い、水の密度は4℃で最大になるという事実は、生物にとって重大な意義があります。このために、湖は底か らではなく表面から凍結し、完全凍結による湖底に生息する生物の死滅を防いでいます。地上は氷点下でも、湖の底には約4℃の重く暖かい水が沈んでいます。 水と氷のこのような特異性のおかげで、生物は寒い地域でも冬が越せ、氷河期にも生き延びられた一因でしょう。図に魔法瓶を使って表面凍結した湖をモデル 実験で再現しました。

(写真右)燃える氷
新しいエネルギー源として「メタンハイドレート」といわれる、日本近海の海底に眠る大量の物質が注目を集めています。こ れはメタンなどが低温・高圧下で氷の中に詰め込まれ、シャーベット状になったものです。火を付けると、まるで氷が燃えているように見えるので、「燃える 氷」とも呼ばれます。

SnowLibbrecht1.jpg
今日では誰でも、雪の結晶は上図のように美しい六方対称形であることを知っています。 氷も雪もH2Oの固体であり、H2O分子が規則的に配列した結晶です。 大気圧下では、結晶構造は六方晶型になることが、巨視的結晶が六方対称になる理由です。同じ結晶にもかかわらず、2つの呼び方がありますが、水蒸気が昇 華・凝結したものを雪と呼び、水が凝固したものを氷と呼んで、区別することもあります。

DendriteSimulation1.jpg
雪の結晶の成長シミュレーション
水蒸気の供給量(過飽和度)が大きくなると、多面体の角のとがった部分に水蒸気が優先的に流れ込みます。丸い結晶では水 蒸気の拡散は等方的で一様ですが、出っ張りがあるとそこに流れが集中し、優先的に成長します。その結果、多面体が維持できなくなり、角から枝が伸びるた め、樹枝またはさやのような形なります。1気圧の大気中を約1/1000気圧の水蒸気が拡散するために生じる効果であり、空気を除いた真空中では過飽和度 が増しても多面体のまま成長します。水蒸気の拡散効果を考慮して、計算機で結晶形の時間発展を追跡したシミュレーションを図に示します。中心にある直径 0.1mmの過冷却水滴が凍結した瞬間(0秒)から、その後の成長形の時間変化を重ねたものです。34%の過飽和度では、まず成長速度の六方異方性のため に六角形になり、次に角の部分が卓越して伸びます。このように過飽和度が大きいと、樹枝状に急速に成長していきますが、過飽和度が小さいと、六角形を維持 してゆっくりと成長します。これは‐15℃付近を想定した計算結果ですが、中谷ダイアグラムをよく説明しています。

posted by Pegasus at 13:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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