
このところ、大きな事故やトラブルが続発している。しばらく前、JALが連続して一歩間違えれば大事故に繋がりかねない事故を起こし行政指導を受けたばかりだが、今度は脱線事故(JR宝塚線)である。また、パソコンの安全を守る筈のウィルス対策ソフトが信頼を裏切って、想定外のトラブルを起こした。踏切事故なども十分な対策がなされたとは思えない。共通している原因として、時間が挙げられる。時間を守ることは日本人の美徳として世界中から尊敬されてきたが、企業が勝ち残るために行う無理な対策が安全軽視を引き起こす誘引になっていることは否定できない。
時間に追われて、当事者が手抜きや無理な行動を取らざるを得ないマニュアルやペナルティがその背景にあることが、本質的な問題である。人間がミスを起こした場合、それをカバーするシステムがあっても、コスト的な制約で実施してないなどの事実が後から判明するケースも多く、法的な不備も大きな問題であろう。
競争に勝つために、余裕のない無理な対策を講じ、弱い立場の従業員に強いるパターンが潜在的なリスクを高め、幾つかのマイナス要因が重なると事故が起きるという負のスパイラルがいまだに断ち切れていない。その度に経営者、技術者、管理者、監査部門の意識改革が叫ばれるが、喉元過ぎれば・・・の繰り返しで、効果が上がらない。
負のスパイラルは、お金に関してはデフレ、バブル経済、株の暴落など事例に事欠かない。最近問題になっているアメリカのBSE対策も抜本策が取れない負のスパイラルである。品質保証の国際規格であるISO9001 も運用面で負のスパイラルに陥り、形骸化した。ISO負のスパイラル
身近な例では、肥満が健康を害する諸悪の根源であると言われる負のスパイラルがある。

これなどは、個人がその気になれば負のスパイラルから脱却できるが、交通機関の安全対策は企業努力や行政指導だけではこれからも不安が残る。国民が自己責任で可能な限りの危険回避を考え、不安な電車や飛行機は利用しないなどの社会運動も視野に入れて行動を起こす必要があるように思う。



私鉄には大事故は少なく、なぜ国鉄時代やJRは多いのかと言う根本問題があります。
それは経営者や社員一同の大事故に対する考え方の相違にあります。 それは大事故を出してもJRは、社長が頭を下げだけで絶対に潰れない。という考えがあるからです。
一方私鉄は、万が一の事が起これば、その人的物的補償、復旧諸費用、更なる高水準の安全対策設備投資等々で企業そのものの存続すら危ういと言う危機感が根にあります。
限られた予算を最適分割して車両、設備、教育等のポイント、ポイントに投資を続けいます。
世間の風潮として、バブル崩壊後、企業合理化の為と称して、盲目的な人員整理が行われ、それでも足りず、責任者にふさわしくない若者を低賃金で、そのまま椅子に着けさせる、例えばコンビニの店長に見るような経営形態が風靡しています。これを顧客が許している点がマイナススパイラルの背景原因にあると考えられます。
脱線事故直後、原因はカーブでの速度超過と聞いて「運転手は25〜30歳そこそこ、独身者」と、直感しましたが、なんと23歳、経験11ヶ月の若者でありました。 年端も行かない若者に600余名の生命を預けさせたJR西日本経営者のバランス感覚を限りなく疑う者です。
本題である「安全の負のスパイラル」を断ち切るには、顧客の選択肢しかありません。
遅いけど、より安全な私鉄を選ぶという顧客のレベルアップがまず望まれます。
「えっ、電車や飛行機に乗るのに、お客も勉強せにゃならんの」
そうなんです。それが文明の利器の特徴なんです。人間の考えた文明の利器には大きな危険が内蔵されているのです。 土気太郎